17章.私がプロジェクトの仕事を始めた時のこと

空

こんにちは、久川和人です。

前回は、「システム構築のプロジェクトリーダーが会社に来なくなったため、急遽私が代役となりました。状況がわからないまま、お客様との打ち合わせが入り、お客様からスケジュールどおりプロジェクトが進むかどうか確認されたが、答えられず後日回答することに。そんな中、2社目の人材紹介会社に面談。その翌日にお客様に説明するための資料作りを急ピッチで進めなければいけないが、夜には3社目の面談がある。」のところまでお話いたしました。

(前回の日記→ 私が人材紹介会社の2社目の面談に行った時のこと

今回は、私がプロジェクトの仕事を始めた時のことについてお話していきます。

「悲劇の主人公」ではなく、幸せを取りに行く

いつも「どうせ私なんて・・・」と思って行動せず、「自分には生きがいなんてない」と嘆くことはありませんか?

以前の私は自分で勝手に作り上げた世界観の中で生きていて、悲劇の主人公のようになり、「私はかわいそうな人間です。」と振る舞っていました。そうすることで、他の人からの同情や関心を得たいと思っていることに気が付きました。

それはまるで、不幸を誇りに思っているような生き方です。

そのように思って生きていたら、幸せなことがあっても幸せだと感じないだろうし、いつまでたっても幸せにはなれないですよね。

でも、考え方を変えることができました。それは、「幸せな生き方をする。幸せを取りに行く。」という考え方です。

そのような考え方に変えるのは大変でした。だって、「私はかわいそうな人間です。」、「私は不幸な人間です。」と悲劇の主人公だったのを、「私は幸せな生き方をする。」という喜劇の主人公に変えるということです。

喜劇の主人公に変わるには、少しずつでもいいので、考え方を良い流れにしていくことです。

  • 自分の欠点・弱点ばかりをみる。
    ⇒欠点や弱点に無関心になる。ないものばかりに注目しない。
  • 自分の中だけで考えない。
    ⇒自分の外の世界(人やモノなど)に関心を寄せる。ものごとを自分の外に向ける。

そうすると、”ダメな流れ”から”良い流れ”に思考が変わってきます。幸せを待つのではなく、幸せを取りに行くという意識を持つ。悲劇の主人公ではなく、喜劇の主人公になれるのだと思っています。

私が思う、「悲劇の主人公」ではなく、幸せを取りに行くについてのお話でした。

つぎからが、16章の続きです。

ドキュメントの修正

「今日は定時に会社を出て、3社目の面談場所に行けるだろうか?」

そのことばかりが頭に浮かんで、ドキュメント修正が進みません。ドキュメントを修正するといっても、途中から参加してまだ2日目。

プロジェクトの状況どころか、何のプロジェクトかもきちんと理解できていないのです。

そのような状態で、ドキュメントを修正してといわれても、何となく修正箇所がわかったぐらいでそれが正しいのかどうかわかりません。でも、ドキュメントを修正しないといけないのです。

定時まであと4時間。少しずつですが、手を動かし始めて修正していきます。定時まであと3時間・・・あと2時間・・・あと1時間・・・あと30分。幸いなことに、誰も話しかけてきません。

残りあと15分になり、

「とりあえず、できた。」

出来としては、50%ぐらいかもしれませんが、修正できる箇所は修正しました。

「このまま定時まで誰からも話しかけられませんように。」

と心の中で祈りながら、机の上の片づけを始めます。そして定時になる2、3分前に、メールでプロジェクトメンバー宛に、「ドキュメントを修正したので、ご確認をお願いいたします。」と書いて送信。

私の席は出口の近くなのです。何も言わずに逃げるように、会社を出ました。

待ち時間で

会社を出て面談場所に向かいます。

定時で帰ったので、

「上司やプロジェクトメンバーにどのように思われたか」

は気になりましたが、定時に会社を出られたことで安心したのか、それとも連日の面談なので慣れてきたのか、面談に対する不安な気持ちはありませんでした。

今回は今までと違って、自宅に帰る途中駅の中にある喫茶店が面談場所です。待ち合わせ時間より早く着いてしまったので、喫茶店の近くにある本屋で時間をつぶします。適当に本を読みながら、

「そういえば、最後に本屋に行ったのっていつだろう?」

なんて思いました。

本屋だと人に見られるということがありますが、インターネットは自宅で誰にも見られずに調べることができます。

うつ病になってから、病気の症状や治し方、病院探しをしたのはインターネット。転職サイト探しもインターネットです。インターネットは便利なのですが、情報量も多く、その情報が正しいのかどうかは自分で判断をしなければいけません。

でも、うつ病のときって、判断力が低下することもあり、正しい判断ができないこともあります。それでも情報を手に入れるにはインターネットが便利なのですね。

そんなことを考えていると、携帯電話が鳴りました。人材紹介会社の人からです。

喫茶店の入り口に着いたとのことで連絡があり、一緒に喫茶店に入りました。

3社目の面談

喫茶店の席に座り、コーヒーを注文しました。

相手はとても話しやすそうな優しそうな男性。私より年齢が上の、40代前半ぐらいにみえました。

人柄の良さというのは大きな武器ですね。それだけでも、面談をすることに対する不安が和らぎます。私もそんな人になりたいと思えました。

相手から名刺をいただき、コーヒーが運ばれてくるまでの間、雑談をします。

雑談といっても、結局は「残業をせずに帰って仕事は大丈夫?」といった仕事のことです。今の仕事について会話をしていると、コーヒーが運ばれてきました。

それからは、1社目、2社目と同様に転職理由や、希望する職種・業務内容を聞かれました。私は3社目の面談なので、質問に対してすぐに答えられます。

相手もプロです。私がすぐに答えるので、「転職サイトは何社か面談されましたね。でも、久川さんの行きたい会社に申し込んで大丈夫ですよ。」と言ってきました。それだけでも、安心できますし、信頼してもいいと思えます。

今回は喫茶店での面談なので、転職先の紹介はないだろうと思っていました。でも、紹介したい会社があるとのことで、3社ほどの募集要項の説明をされ、この日の面談は終わりました。

帰りの電車の中で、定時に黙って帰ったことで「上司やプロジェクトメンバーにどのように思われたか」が気になり、不安に襲われてきました。考えたり、悩んだところでその答えは出ないのです。答えが出ないことは頭ではわかっているのに、それでも気になってしまうのです。

答えになっていませんが一つの結論として、「明日は会社に行きたくない。」という思いが強くなってきました。

でも、明日休んだところで、結果が先送りになるだけで何も解決しません。先送りするということは、1日休むごとに、同じ事を不安に思う時間が1日増えていくだけです。しまいには、「このままずっと会社に行きたくない。」とまで思うようになります。

そして、そんな不安の中でも急に、「今週中にはいくつかの求人に応募しないといけないけど、志望理由をどう書いたらいいだろう。」と、また一つ不安要素が出てくるのでした。

正当な理由

不安ばかりで眠れない夜を過ごしましたが、翌日はなんとか電車に乗ることができました。昨日の帰りの電車から同じことばかりを考えているのです。

それでも出社して自分のパソコンを開きました。すると、私が修正したドキュメントに対するコメントがメールで大量に届いているのが確認できました。

しかも、最後の方のメール送信時間は、24時近く。多くのプロジェクトメンバーは終電ギリギリまで仕事をしているようです。

メールの文面から、昨日定時でさっさと帰ったので、上司やプロジェクトメンバーからは、「こんな状況なのに、あいつはさっさと帰りやがった。」と思ったことがすぐに感じ取れました。

予想していたことではありますが、メールの文面や送信された時間を見ていると、プロジェクトやプロジェクトメンバーに対しての不安に襲われてきます。

「同じように深夜まで仕事をするようになる。」、「プロジェクトメンバーには、私に対する印象を悪くしてしまった。」

仕方がないことではありますが、この先のことを考えると不安しかありませんでした。

100%の出来ではないにしても、その日に自分の仕事であるドキュメントの修正は終わりました。ですので、仕事の途中で帰ったわけではありません。でも、プロジェクトの状況からして課題が山積みの状態で、そんなことが正当な理由として成り立たないことはわかっています。

プロジェクトメンバーの誰とも会話をせず、メールの中身に書いてある指摘事項を見て、ドキュメント修正に取り掛かりました。幸いなことに、確認をしなくても直せそうです。でも、指摘事項の量がとても多く、残業をしても今日中に終わらないかもしれない、ということがすぐにわかりました。

それでも、ひたすら、ドキュメント修正だけに没頭します。いつ終わるか目途が立たないままに、12時のお昼になりました。

さらなる反感

ドキュメント修正に疲れたため、お昼は気晴らしに外へ食べに行きました。お店が混んでいて料理が出てくるのが遅かったのと、私が食べるのがゆっくりだったこともあり、戻ったのは、休憩時間ギリギリの午後1時近く。

ここで問題が発生します。上司とプロジェクトメンバーの一人が、私の席で待っていました。

私が近づくと、上司が一言、

「どこに行っていたんだ!!」

と私に怒鳴ります。

私はびっくりして何も答えられません。そのあと、すぐに会議室に連れていかれました。会議室にはプロジェクトメンバーがいました。どうやら、お昼の時間に打ち合わせが入っていたようです。

今日の午前中に、その打ち合わせがあることを知らせるメールが来ていたのです。でも、私はドキュメント修正に没頭していたため、メールを見ないまま、お昼に行ったのでした。

私は事情を話し謝りました。でも、プロジェクトメンバー全員のイライラしている感情が治まるどころか、メールを見ていないこと、一人だけお昼に行ったことに対して、メンバー全員の怒りが強くなっていくように感じ、私は黙っているしかありません。

その後、打ち合わせは始まったのですが、システム構築の要件がはっきりしていない状態でプロジェクトが進んでいるので、メンバー全員の考え方がバラバラ。

まさに、ことわざの「ああ言えばこう言う」とはこのこと。一つの事柄に対して、相手の言うことに対して、いちいち理屈をこねて逆らうといったことが続き、方向性も何も決まらない状態。

そのような中、

「早くドキュメント修正に取り掛かりたい。」

そのことだけを考えて、私は静かに打ち合わせの状況を眺めていることしかできませんでした。

でも、私が静かに眺めていることに対して、メンバーの一人から不満が出ます。

「久川は何か言うことはないのかよ。」

それに対して私は、

「とにかく、ドキュメントを早く修正して、お客様と要件を決めるようにします。」

とだけ答えました。

その後も話は続きましたが、メンバーの不満ばかりを言う場となり、そのまま、2時間ぐらい経過。

会社に来なくなったプロジェクトリーダーの気持ちが痛いほどわかる打ち合わせの状況でした。

話がまとまらない中、私は明日中にはドキュメントを修正して、お客様との打ち合わせをすることになりました。

ドキュメント修正が終わらず、その日は終電での帰りです。でも、明日中には終わる目途だけはつけることができました。

転職への決意

このこともあって、プロジェクトに参加して3日目にして、プロジェクトに対しては、

”このプロジェクトを抜け出すこと”

しか考えることができなくなりました。

そのためにも、早く転職先を探すしかありません。

うつ病を抱えながら、そのことを隠しての転職活動です。でも、うつ病のつらさよりも、プロジェクトを抜け出したい気持ちの方が強くなっていました。

「今週末には、いくつかの企業に応募してみよう。」

その気持ちだけを持ちつつ、翌日にドキュメントを仕上げて、お客様と打ち合わせをして、ある程度の要件は決めました。それにより、プロジェクトを進めるうえで何をしなければいけないのかが、ある程度は見えてきました。

相変わらず、社内の打ち合わせでは、「ああ言えばこう言う」で話はまとまらず、仲良くプロジェクトを進めるということは、ほど遠い感じではあります。でも、プロジェクトメンバー個々人がやることは明確になってきました。

そのような中で、私が常に会社で思っているのは、「早く転職をする。」ということだけ。

この決意が、私を動かす原動力となり、少しの間だけ、うつ病ですら忘れさせる改善させる効果を発揮させました。

しかし、このプロジェクトで私が想像もしなかった、原動力を止めるような大事件が起こることになるのでした。

(続く・・・私が派遣先から戻って初めて一緒に昼食に行ったときのこと



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