こんにちは、久川和人です。
前回は、「再び上司に呼ばれ、管理職としての仕事をしていないという理由により降格を告げられます。それに対して、私はほとんど何も言えずに受け入れて仕事をする。」のところまでお話しました。
(前回の日記→私が再び上司に呼ばれた時のこと、
最初の日記→人と接するのが苦手です)
今回は、私が最初に引継ぎを始めた時のことについてお話していきます。
降格を告げられてから、2週間後、予想もしなかった出来事が訪れます。
Contents
派遣先の運用メンバーとの関係
降格を告げられてから、私の会社の姿勢に対しての不信感なのか、絶望なのか、あきらめなのか、まったく仕事に対してやる気が起きません。
仕事には行きますが、頭の中の片隅どころか、頭の中の30%ぐらいは、常に降格したという事実が劣等感となって占領していて、さらに頭の中を占有しようと領を拡大に努めているようでした。
唯一、派遣先でのシステム運用メンバーとは仲良く仕事をすることができていたので、それがせめてもの救いでした。
システム運用メンバーは総勢3名と少ないですが、全員、別会社から派遣された人で構成されています。
しかも、派遣先の社員がいる部屋とは別の部屋で、隔離されている状態。
一人でも欠ける仕事が回らなくなる状況ということもあり、連帯感のあるチームとなっていました。
システム運用メンバー全員とも仕事も覚え、問題なく出来るようになっていて、トラブルなどもほどんどありません。
仕事の大半は、利用者から依頼された内容に合わせてシステムの設定を変更する、システムの使い方などの問い合わせ対応をするだけなので、慣れれしまえば簡単にできるものではあります。
でも、派遣先の社員からは、仕事が出来ると「依頼した内容と違う」と怒られ、仕事が出来ないと「何でそんなことも出来ないの」と嫌味を言われるとう状況が続きます。
軽いいじめですね。
そのため、システム運用メンバー全員、いつも疲れたような表情になっていました。
派遣先から離れて数年たった今でも、このシステム運用メンバー3人が同じ会社に勤めていて、一緒に仕事ができたなら、楽しく仕事が出来ただろうと思うことがあります。
そして、派遣先で仕事をしていたときは、実は、サラリーマン生活の中では幸せな時間だったのかもしれないと思うこともあります。
うつ病に悩まされていて、幸せだったということはないと思うのですが、昔を振り返ったとき、あの頃はよかったと思うのはなぜでしょうか。
私なりの考えとしては、昔を振り返ったとき、すでにその出来事は終わっていて、第三者的にその光景を見ているような感じになるので、辛かった場面も当事者ほどの辛さを感じないからかもしれません。
なので、楽しかったことがあると、その楽しいという意識が強くなり、あの頃はよかったと思えるのかもしれないのではないでしょうか。
交代?
降格を告げられてから、2か月ほど経ちました。
うつ病の治療は続き、月に2日ほどは朝起きられず休むことはあります。それでも、辛いながらも派遣先へ行く。派遣先へ行ってしまえば、何とかやっていける。そんな日が続いていました。
その日も、派遣先でいつもどおり仕事をしていました。お昼ご飯を食べて、少し休んでいると、派遣先の社員と、私の会社の営業担当と上司が部屋に入ってきました。
何の連絡もなく、突然です。
最初は何事かと思いましたが、派遣先の社員から、私に対して、いつも仕事が出来ないと言われ続けていたので、私は、いつ運用をクビになってもおかしくないと思っていました。
そして、その時がついにやってきたのだと思いました。
営業担当に近くの喫茶店に行こうと言われたので、営業担当と上司と私で近くの喫茶店に入ります。
上司がコーヒーをおごってくれるのかと思いきや、そんなことはありませんでした。
自腹でコーヒー代を払い、コーヒーを受け取ります。
そして、開いている席に座り、話し始めた途端に、本題に入ります。
営業担当が、
「運用者を変えることになりました。」
と言いました。
運用者を変える理由は言いませんでしたが、私も聞くことはしません。
喫茶店で告げられたのは、想像したとおり、私は運用から外れることになったとのことです。
しかも、すでに代わりの人を見つけていて、契約社員として雇ったとのこと。来週からその人への引継ぎを始めて、引継ぎが終わったら、交代させるとのことでした。
予想していたこととはいえ、その事実を聞くとショックを受けるものです。
私の代わりを探していることについて、私には何の連絡もなかったことがショックを受けた一番の原因でしょうか。
システム運用の仕事は、うつ病と戦う自分の中では頑張っていたつもりです。
システム運用メンバーにもある程度は頼りにされていると思っています。
でも、結局自分はダメな人間なんだって思いました。
私の仕事の成果に対して、私の会社では誰からも褒めてもらえず、派遣先から交代しろまで言われる、いわば、厄介な存在としか思われていないのでしょう。
私の心の中では、気持ちがどんどん沈んでいきました。
私は最後まで、静かに話を聞いていました。
私は喫茶店からシステム運用メンバーがいる部屋へ戻りました。
私はシステム運用メンバーに、私が交代させられること、そして、交代する要員が来週から来ることを伝えます。
その事実は、システム運用メンバーもショックを受けたようです。
でも、会社の決定に従うしかありません。
自分たちでどうすることもできないことは、流れに任せるしかありません。
暗い雰囲気の中、その日を過ごしました。
引継ぎを始めたが…
事前に営業担当に、代わりの人はどのような人か聞いたところでは、その方は、女性の方で、私が担当しているシステムに詳しいとのこと、システム運用経験はあるとのことで、契約社員として採用したとのことでした。
ここでは、その方のことを後任者と呼ばせていただきます。
翌週になり、ついに、私の後任者がやってきます。
簡単に挨拶をした後、業務内容の説明を始めました。
このあと、私が予想していなかったことが発生します。
一通り業務説明が終わり、今度は、担当するシステムについての説明に入ります。
「基本的に運用作業は、依頼者から依頼表が来るので、依頼表に書いてある内容を設定していきます。管理メニューを開いて、依頼表に書いてある内容に合わせて設定していきます。そして、…」
私は説明を続けます。
でも、後任者は全くわからないといったような顔つきです。
そして、後任者は、言いました。
「そのシステムの仕様や使い方などをまずは教えていただけますか?」
私はびっくりして、聞き返しました。
「営業担当からは、システムに詳しく、システム運用経験もあると聞いていたのですが?」
後任者は、困惑したような顔つきで言いました。
「そのシステムの名前は聞いたことがありますが、扱ったことや、さわったことはありません。面接時に、システムについては、運用引継ぎ時に教えてくれると伺いました。」
そのあと、後任者にいろいろ聞いてみましたが、利用しているシステムは初めてで、運用するにあたり、教育してもらえるとの認識とのことです。
後任者が嘘を言っているようには思えません。面接時に、本当に、面接官から教育してもらえると言われたのかもしれません。
でも、それでは引継ぎすることすらできません。
私は営業担当へ連絡し、その事実を伝えました。
すると担当営業は、
「だったら教えてあげてください。」
といい、そのあと、上司にも報告しましたが、同じ回答です。
システムに詳しく、システム運用経験もあるというのは、後任者が言ったことなのか、営業担当や上司が勝手に言っていたことなのかはわかりません。
引継ぎ期間も明確に決まっているわけではないので、私は後任者へ教えることにしました。
今思えば、システムに詳しくない人が来ることは、想定内の出来事だったかもしれません。
そもそもシステム業界はいつでも人手不足なので、運用をやりたいといった人がいればスキルがあるなしは関係なく採用したのだと思います。
ですが、当時はそこまで考えが及びませんでした。
無理?
引継ぎを始めて、2週間が経ちました。
後任者に、すでにやる気が無いのが伝わってきます。
恐らく、システムを覚えることが大変だということもありますが、派遣先の社員からのいじめのような待遇、文句ばかりしか言われないこと。そして、面接時と話の内容が違うことへの不満も大きかったかと思います。
でも、私には、後任者が理解できるように、わかりやすく、かつ、時間を多くかけてシステムを教えること。派遣先の社員の態度はいつものことなので気にしないようにするということを伝えるぐらいしかできません。
そんな中、再び、私の会社の営業担当がやってきて、営業担当と私が喫茶店に入ります。
今度は、営業担当がコーヒー代をおごってくれました。そのことからも、良い話をするのではないことは確定です。
営業担当が話を始めます。
「後任者が辞めるそうです。」
私はとくに驚きません。私は言いました。
「あの職場は辛いと思いますよ。本人も大変そうだし、それでいつ辞めるのですか?」
営業担当が言いました。
「今月末ですが、来週から休むって言ってます。」
「それだと、引継ぎは中止ですね。」
そのあとは、営業担当に派遣先の現状の様子、後任者が辞めることについて派遣先への対応方法などを話して別れました。
引継ぎできないので、交代する話は延期となりましたが、派遣先にこのまましばらくいるのが良いのか、悪いのかはわかりません。
そもそも、自分の会社に戻ってもやることがあるのかどうかもわかりません。
後任者の本当の気持ちはわかりませんが、私の対応の仕方に問題があったのかもしれないと思うようになってきました。
でも、今の私にできることはやっているが、もっと、違う方法があったのではないかと考えてみたりしました。
後任者が来てシステムをしらないと言った時から、何となくは予想していましたが、後任者をこんなに早く辞めさせてしまったという事実が私の胸に深く刻まれました。
後任者に申し訳ないという気持ちが強くなってきます。
いろいろと複雑な思いがめぐりながら、職場に戻りました。
その日は、後任者に今週までしかいないことだけは確認し、それ以上のことについては深く話をしませんでした。
今思えば、この時に、もっと話を聞いておくべきでした。
翌日から、後任者は派遣先へ来ることはありませんでした。
結局、後任者が辞めた理由はわからないまま。
しばらくは、私は後任者に申し訳ないという気持ちを抱えたまま、過ごすことになりました。
(続く・・・私が後任者へ引継ぎが終わった時のこと)